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東西南北くすつば!企画用ブログ
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2024/04/26 (Fri)
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2010/05/01 (Sat)
まとめ
過去編

これにて終了。めがおるです。
雨・・・か・・・。

傘を差す気にもならない。




ずっと秘めていた、本心は・・・

少しずつ解け、暴かれてしまった。



・・・今日は、兄さんの三回忌だった。

何も知らない親戚が、好き勝手言うのが耐えられなかった。

・・・家に帰るまで、感情を押し殺していたが、そろそろ限界だ。

ボクは、雨の中ふらふらとゆくあてもなくさまよっていた。

「兄さん・・・・・・ノリ兄・・・・・・!!!」

強い雨が、涙も声も隠してくれる。

「死んだなんて嘘だ・・・!嘘って言ってくれよ・・・!」

・・・美しい絵と思い込んでいたあの写真は、哀しい現実だった。

ずっと、絵だと思い込んで、現実から逃げていただけだった。


ノリ兄を受け入れなかったこの世界が憎い。

黒い感情が溢れ出る。


ノリ兄を殺したのはこの世界だ!!


許さない・・・許さない・・・許さない・・・


写真への傾倒の中に隠していたものは、黒く、汚い憎悪。

もし誰かに会えば、ボクはこの感情をぶつけて、取り返しのつかない事になるだろう。

師匠も、かざみも、馨さんも皆、憎い世界の住人なんだ・・・!!




足に、柔らかい感触があった。

・・・ずぶ濡れの、猫。

金色の目が、まるで馨さんのようだった。

「馨さん・・・ボクに近寄らないで下さい。きっと、この憎悪をあなたにぶつけてしまう・・・」

・・・はは。本当に馨さんな訳じゃないのに。

でもよかった。まだボクは、完全には壊れちゃいない。


「・・・俺が、どうしたって?」

「・・・!!!」

・・・まさか、本当に馨さんが来るとは。
その姿があまりに綺麗で、黒い感情が静まり返った気がした。


「・・・則也に無理矢理連れて来られたんだ。今日は三回忌だったらしいな」

「・・・はは、その通りですよ。・・・兄は一昨年のこの日、ボクの目の前でベランダから転落し、死にました。ボクはその時の写真を持っていながら、それは現実ではなく美しい絵なんだと、自分を騙していました。」

「・・・そうか。」

「兄の死を認めたら・・・ボクは全てを憎むようになる。兄を苦しめたこの世界を・・・!それを、知ってたから、認める訳にはいかなかった。きっと・・・貴方を美しいと思うことも、なかったでしょう。」

「・・・俺を?」

「馨さんは、今のボクの全てです。現実から目を背けて、本心を封じていたボクの心を呼び戻したのは、貴方ですよ。」

・・・ああ、いとおしい。
そうか、ボクはこの人がいたから、現実を受け入れても壊れなかったんだ。



その美しい金色の眼に手を伸ばす。

「・・・!!?何を・・・!!」

唇を近づけ、舌を這わせると、蕩けるように甘かった。

「・・・!?よ、よせっ・・・!」

「綺麗だ・・・馨さん・・・!ボクはっ・・・!貴方がっ・・・貴方だけがっ・・・・・・!」

「や、やめろ!!」

「・・・っ!!」


馨さんが身をよじり、その甘い行為は中断される。

「・・・いきなり何すんだ。そこまで許した覚えはねぇ。」

「・・・フフ、すみません。・・・でも、これでやめる気はありませんよ。
・・・ボクは、馨さんがいないと、壊れてしまう。
・・・ボクの心を解放した責任、取って頂きますよ。」

「・・・そんなもの知るか・・・!俺は則也に頼まれただけだ。・・・それに、もうお前がこの世界を憎む必要はない。」

「・・・何故です?」



『正也・・・

兄ちゃんは今、とても幸せだよ。天国は、楽しい所だから。・・・正也は、ちゃんとこの世界で幸せになって欲しい。』


「・・・と、則也が言っていた。」

「・・・ハハ、そうですか。兄が・・・。じゃあなおさら馨さんはいなきゃ駄目です。」

「どうして・・・」

「この世界で、幸せになる為ですよ。

・・・馨さんはもう、ボクの中でかけがえのない存在なんです。」

「・・・!!」

そしてボクは、馨さんの隙を狙って、馨さんに口づけた。



雨が少しずつ静まりかえり、雲の間から星空が覗いていた。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

「38度5分・・・」


今日は師匠の所に顔を出す予定だったのに、参ったな・・・。



師匠に、今日は行けませんと連絡をして、布団に潜った。


ピンポーン


こんな時に来客・・・?


重い身体を起こす。

「・・・ごめんくださーい。」

「か、かざみ・・・」

「父から、正也くんが風邪だって聞きまして。」

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

「りんご、剥けましたよ。・・・ふふ、前にもこんな事がありましたね。初めて正也くんに会った時、寝込んでいた私を、正也くんが看病してくれたのですよね。」

「・・・かざみ、どうして・・・。ボクは・・・。」

「・・・昨日、お兄さんの三回忌だったそうですね。」

「・・・ええ。かざみ、ボクの事、気味が悪いと思わないのですか?」

「・・・正也くん。私が何も知らないとでも思いました?・・・最近よく辛そうにしてたじゃないですか。本心じゃない事位、わかりましたよ。」

・・・かざみもやっぱり嘉彦さんの娘なんだな・・・。敵わないよ。

・・・よかった。ボクは何も失わずに済んだ。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

カシャ

「・・・いい加減俺の事は撮り飽きたんじゃないのか?」

「まさか。まだ撮り足りないですよ。まだ馨さんの素晴らしさを写しきれていません。」

「・・・何だそれは・・・。」

・・・あれから、馨さんを撮っても、心霊写真にならなくなった。
写っていたのは恐らく兄さんだったのだろう。ボクに、何かを伝える為に、馨さんを介していたのだ。

・・・兄さんが馨さんを選んだのは、何かの運命なのかもしれない。

「・・・馨さん、愛していますよ。」
「・・・言ってる意味がわからねぇな・・・。」
「フフ、いいんです、今は。いずれ分からせてみせますよ。」



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

はいこれにて終了~!ようやく完結した!待たせてごめん!

これからうしくんちのめがおるに繋がる感じ。やっぱり一方通行気味だけど、だんだん馨の方も歩み寄って来るんじゃないかな。


馨が幽霊と話せるのは二次だけど、神様マジックって事で←

則也が地面で筆談したか、神様パワーで話し合いができたか、そんな感じ?
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