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東西南北くすつば!企画用ブログ
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2010/08/08 (Sun)
現実前編。続き物。



現実

世の中は、ぼくが思うよりずっと生きにくくて、息苦しかった。
それを、周りは既にぼくが知る前にわかりきってた。
ぼくだけ、置いて行かれてたんだ。

---

「猪屋、分からないならお前は退団だ。応援団に、お前のような奴は不要だ。」

不真面目さと、問題行動の積み重ね。
「意味わかんない」と反抗し続けたら、それは取り返しのつかない所まで膨れあがっていた。
でもぼくは、退団を言い渡されてなお、事の大きさに気付けずにいた。

団長なんて嫌いだ。
ぼくは白雪先輩に憧れてるから、白雪先輩が活躍したこの学校で、応援したかったから、応援団に入ったのに。
何でそれを邪魔するんだよ。何で。
いつもぼくに口うるさく色々言ってさ、ぼくの事、そんなに嫌いなの?ぼくを追い出したかったの?



それから、心にぽっかりと穴が空いた。

白雪先輩の影を追うことができなくなったから?
でも、ぼくの頭の中は、白雪先輩じゃなく、団長でいっぱいだった。

「ねぇ、いさちゃん、ぼくね、最近ずっと一人の事ばっかり考えてるんだ。何でなんだろう。」
「・・・慶ちゃん・・・。それって、好きな人?嫌いな人?」
「・・・嫌いな人・・・。」
「嫌いなら、何でそんな悲しい顔してるの?うちには、嫌いとは違うように見えるな。・・・勘違いだったらごめんね。恋に悩んでるように見える。」
「恋・・・?・・・でも、男だよ?」
「あ、そうなの・・・。まぁ、恋じゃなくても、その人は慶ちゃんにとって特別じゃなかった?」
「特別・・・?」



「・・・団長・・・。」
「・・・ああ猪屋。何か用ですか?」
「・・・え・・・?」
「それと、猪屋は応援団員じゃないのですから、団長とは呼ばないでください。」
「・・・・・・!!」

ぼくと団長の間に、大きな溝ができたみたいだった。

団長が団員じゃない人には態度がらっと変えることは知ってたけど、いざ、ぼくに対してそういう態度取られると、あまりにショックだった。
今まで恐かったけど、こんなに冷たくはなかった。ぼくに対して熱くなってくれたじゃないか。

今まで、こんな、拒絶されたような気持ちにはならなかった。



・・・そうか、ぼくは団長に構って欲しいんだ。恐くてもいいから。
・・・・・・団長が好きでたまらないんだ。



「・・・団長・・・。」
「・・・猪屋、これから団長と呼んだら返事しませんよ。いいですか?」
「団長!」

ぐいっ!

「・・・んっ・・・!?」
「好きだよ、団長。」
「・・・・・・。」
「・・・何で怒らないの?前はぼくがキスしたら怒ってグラウンド走らせたじゃん。」
「・・・別に、怒るほど嫌な事ではありませんから。・・・まあ、でも、無理矢理キスするのは暴行罪ですからやめた方がいいですよ。」
「・・・何それ。それだけ?違うでしょ。心の中じゃ怒ってるでしょ。ちゃんとぼくの事見てよ。ちゃんとぼくの事叱ってよ。ねえ!団長!」
「・・・・・・。」

---

・・・だめだ、何を言っても、何をしても、団長は元に戻ってくれない。

・・・応援団に戻りたい。だけど、ぼくは追い出されたんだ。
戻れるわけないじゃないか・・・!


この時、ようやく今までぼくがしてきた重大な過ちに気がついた。
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