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2010/06/14 (Mon)
康正話まとめ
交錯 前
康正が王を気にしだす話。
CP未満。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

どうにもならない、やりきれない気持ちを忘れる為の、逃避なのかもしれない。

それでも、勅使川さんと同じように、あいつの存在が心に引っ掛かり始めたのは確かで。



・・・そういえば俺は、あいつの事を何一つ知らない。
何を考えてるのかも、全然読めない。

ただ、感じるのは、普通じゃないという事。

時折尋常ではない位に疲れた表情を見せるあいつ。

何か普通とは言えない事情を持っていそうなあいつが、気になってしょうがない。


一体、お前は何なんだ?


市ノ上・・・。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

「へえ、ここに市ノ上が住んでるのか。結構立派なマンションだな。勅使川さん、今日は寄るの?」
「特に用事もないし、今日は帰る。でも急にどうしたの?」

俺の手には、夕飯の材料が入ったスーパーの袋。

「今日の市ノ上、いつも以上に疲れた顔してたから、何か心配でさ。お節介だろうけど。」
「・・・いいと思うよ。あいつ、あまり人の力を借りるような事しないし。こっちから何かしなきゃ、何も言ってくれないもん。」

・・・本当だよ。
本当に・・・何も話さないよな、あいつ・・・。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

インターフォンを鳴らすと、中から見覚えの無い男の子が出て来た。

・・・間違えた?

「しっ失礼しましたっ!」
「・・・待って。王の友達?」
「・・・そうだけど・・・君は?」
「・・・俺は、まあ、居候みたいなもの。王は今集中してるから相手にできないけど、何の用?」
「・・・あ、いや、邪魔ならいいんだ。ただ、家事手伝いに来ただけだし。」
「・・・家事?それは助かる!上がって上がって!」
「・・・え?」

俺は居候の男の子に手を引かれ、中に入った。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

「それ夕飯の材料?ちょうどよかった。王が集中してて飯食う気配ないからさ。出前でも頼もうかと思ってた所だ。あ、キッチンここね。」
「集中・・・?市ノ上は何してるの?」
「仕事・・・らしいよ。プログラミングかな?詳しい事は知らない。」
「仕事・・・?ぷ、ぷろぐらみんぐ・・・?」

あ、頭痛くなってきた・・・。
そんな事してるのかあいつ・・・。

「疲れてたのは、それが原因か・・・?でも何で・・・。」
「早く父親の庇護から逃れたくて、色んな事して資金を集めているらしいよ。あいつの家、ちょっと特殊でさ。聞いた事ある?」
「いや、何も・・・。そんなに父親が嫌いなのか?あいつ。」
「父親っていうか・・・家、かな。家の性質に嫌悪感を持ってるんだよ。キチガイの集団とか、淫らな家とか言ってさ。」

キチガイ・・・淫ら・・・
随分過激な事を言うんだな。
・・・俺には到底想像つかない境遇に生まれたんだな、市ノ上は・・・。

今は何も解らないけど、少しでも助けになれたらいいな、と思う。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

「市ノ上。集中するのもいいけど、食わないと倒れるぞ。」

作業しながらでも食べやすいように、ライスサンドにしてみた。
パソコンデスクの横に置く。

「・・・ん、珍しいな、一ノ瀬・・・。・・・・・・風間!!?」
「あ、勝手に上がらせて貰った。」
「・・・びっくりした・・・!いきなりどうしたんだ。」
「いや、何となく思い付き。一人暮らしは大変だろうから、家事手伝いに来たんだよ。」
「何でわざわざ・・・。」
「理由なんていいだろ。俺がそうしたかっただけだ。邪魔したな。」
「・・・・・・。」

市ノ上はすぐにモニターに向き直って作業を再開した。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

リビングに戻ると、居候が出掛ける準備していた。

「俺仕事だからそろそろ行かなきゃ。」
「仕事って・・・こんな夜に?君いくつ?」
「16だけど・・・ただの深夜バイトだよ。年齢ごまかして。結構ワリが良くてさ。」
「・・・君も普通じゃなさそうだね。」
「・・・まあね。あ、食器流しに置いといた。あんたはどうすんの?ここ泊まる?泊まるなら、俺の布団使うといいよ。」
「え・・・?そこまでは・・・。」

「明日の朝俺いないし、王の奴朝食食べないかもしれない。いい加減倒れそうで心配なんだ。あ、着替えはここ。俺の服勝手に着ちゃっていいよ。」
「・・・・・・うーん・・・。」

・・・いきなり外泊なんて、親はびっくりしそうだけど、市ノ上の事は心配だしな・・・。

「わかった。そういう事なら泊まるよ。」
「よかった・・・。これで心配ないや。じゃあ出掛けてくる。」
「ああ。行ってらっしゃい。」

・・・さて、食器片付けて、風呂沸かすか。ん?勝手に入っていいのか?

そろそろ食い終わった頃だろうし、市ノ上の様子を見に行くか。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

・・・まだ食ってなかった・・・。

「市ノ上。食わないと倒れるぞ。」
「・・・ん、もう少し・・・。」
「・・・風呂、勝手に沸かしちゃったけど、入っていい?あと俺、今日は泊まるから。」
「・・・ん、わかった・・・。」

生返事。本当にわかってるのか?
まあいいや。風呂頂こう。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

風呂から上がると、市ノ上がリビングにいた。

「風間、ご馳走様。美味かった。色々と悪いね。」

ちゃんと食べてくれたのか・・・。何か嬉しいな。

「いや、いいよ。俺が勝手にした事だし。こっちこそ、一番風呂貰っちゃったし。片付けは俺がしとくよ。」
「ん、悪いね。じゃあ、俺も風呂入るか・・・。」

・・・・・・。

そう言って2時間位風呂から上がってこない・・・。随分長湯だな・・・。まさか・・・。

心配になって風呂の様子を見ると、案の定、風呂の中で寝ていた。

・・・相当疲れてたんだな・・・。

「おい、起きろよ。風呂で寝るのはまずいだろ・・・」

ボチャン!

揺さぶったら、市ノ上の体がずり落ちて、湯舟に頭ダイブさせてしまった。

「・・・ぶぉっ!何すんだ!」
「良かった生きてた。相当疲れてたんだな。」
「ん、最近少し仕事を取り過ぎて・・・。一気にやってたんだ。最近あまり寝てない・・・。でももう終わったから・・・。大丈夫・・・。」
「のぼせてない?出れる?」
「・・・・・・。」

かなり動くのがしんどそうだ。

俺は市ノ上を湯舟から引きずり出して、身体を拭いて、頭を冷やした。

「・・・情けないな・・・。」
「それだけ無理してたって事だろ?マシになってきたか?はい水。」
「ん・・・。悪い・・・。」
「今日はすぐ寝ろよ。明日の準備は俺がしとくから。朝飯と弁当も作っておくよ。タッパー借りる。」
「弁当・・・?わざわざそこまで・・・。」
「気にするなよ。したくてしてるんだ。ほら、髪乾かすぞ。冷風にしとく?」

「・・・馬鹿じゃないのか?
こんな事して、何の得があるんだよ。」
「今の市ノ上が、危なっかしくて見てられないからだよ。」
「俺が・・・?・・・わからないな。・・・だけど・・・」





「・・・ありがとう。」





照れの入った小さな声だったけど、小さく、そう呟いたのが聞こえた。

初めての、言葉だった。

嬉しかった。
俺はもっと、市ノ上の力になりたいと、そう思った。
もっと、市ノ上を知りたいと・・・、そう、思った。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

王が、あまりに自分と境遇が違いすぎて、気にし始める康正。
王も王で、いきなりお節介になり始めた康正が気になり始める。何でこいつは俺の為にわざわざ・・・。って戸惑ってると思う。

イサの優しさは卑屈さから来てるものだからイサ自身の問題で終わるけど、康正の優しさは同情から来ているので、王の問題にも入り込めると思う。

コンプレックスからだいぶ時間が経った話なので、嗣はかなり精神安定してます。独り立ち準備中なので、康正に対して「俺から王を取るな!」とはならない。


ちなみに嗣が王の家事情を知ってるのは、王が嗣に家の事を話したからではないです。
嗣の母親が箱坂に返り咲く為に、色々な権力者との繋がりを持とうと模索して、その中に市正家がありました。嗣はその話を聞いたので、市正家の事情を知りました。そして市正家に興味を持って色々調べてみたら、王の事を見つけました。
嗣は、同年代である事と家の柵から逃れたい境遇が重なって、王に親近感を持ち、関わり始めた訳です。

それでコンプレックスに続く流れがあり、今に至る。

嗣は家の事情の話を王にしてると思うので、王もその流れで、嗣に色々話したのだと思う。

ちなみに、王と康正の関係諸々はほぼ私が考えついたものだけど、くろたんは王康乗り気なようである。
いざたん次第では公式CPになる可能性もあるかもしれん。


・・・私は公式関係なしにプッシュするがね!(キリッ
本当、どうしてうちのこじゃないのにこんなに盛り上がっているのだろうか。
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