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東西南北くすつば!企画用ブログ
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2012/02/15 (Wed)
文章長すぎたのでおにぎりではなくこっちにまとめてうp。

中学時代の信郎と苗の話。

苗「あれ…?飼沼くん、バド部入ったの?」
信「ん…。大会まで、だけど…。ダブルス組んで欲しいって頼まれて…。」
苗「助っ人頼まれたの!?すごいねぇ。」
苗(飼沼くん授業でもバド部顔負けに上手かったし…。元から上手いなんてちょっとずるいなぁ…。)
信「ん…。でも本格的にはやったことないからみっちり練習しないと…。頼まれといて無様な所は見せられないからね…(`・е・´*)」
苗「楽しそうだね。」
信「俺、めんどくさがりだから…。嫌なことは、受けないよ。」

---

信「あー。やっぱりバドのラケットは慣れないなぁ…」
相方「十分十分!抜けた馬鹿より実力も根性もあるわ!妬けるねぇ。」
信「おだてても何も出ないよ…。」
相方「いやいやいやマジだって!来年も一緒にやりたい位だけどなぁ。」
信「お誘いは嬉しいけど流石に二年掛け持ちは辛いよ…。卓球のほうにあまり顔出せなくなってるし。」

苗(飼沼くん、こんな遅くまで…。頑張ってるなぁ…)
相方「あれ、溝端じゃん!こんな遅くまで残ってたのかよ!」
苗「Σえっ あの…。」
相方「あ、もしかしてコイツ待ってたとか?」
苗「えっ!?」
相方「俺達もそろそろ帰ろうと思ってた所だし、なぁ?一緒に帰ってやれよ!ほら!」
信「えっ?えっ?」
苗「そ、そういうわけじゃ…」
信「そ、そうだよ、そんな約束なんてしてないし、それにそんな関係じゃ…」
相方『ばっかお前。最近溝端のヤツよくお前のこと見てんだぜ?話合わせろよ(耳打ち)』
信「え、えぇ…。気のせいでしょ」
相方『野暮なこと言ってんじゃねーよ!』

ぱしーん

信「痛っ!」

信「あ、あの…。」
苗「な、何?」
信「夜遅いし、一人だと危ないから…。一緒に帰らない?」
苗「…え?」
信「あ、ごめん…。変な意味じゃ…。その…。」
苗「えっいやあの」
相方「おまえらハッキリしねーなぁ。俺先着替えて帰るからよ、鍵よろしくなー」
信「あっおい!」

信「…。」
苗「…。」
信「…俺も、着替えてくるよ…。」
苗「…あっ…。」
信「…何?」
苗「校門前で待ってる…から」
信「…え…。」
苗「一緒に、帰ってくれるんだよね…。」
信「…い、いいの…?」
苗(こく)
信「わ…わかった…。急いで着替えてくるよ…。」


結局その日は、お互い無言のまま駅で別れた。
だが、この事がきっかけで、話す機会が増え、他のクラスメイトよりはやや親密、という程度の関係になった。


---




今まで特定の女の子を特別だなんて思ったことはなかった。

気遣わなきゃいけない面倒な存在。
面倒というのは失礼だけど、俺の手には余る存在。
面倒を避けるにはある程度手助けする必要性があるけど、極力関わらないでいたい存在。

俺にとって女の子というのは、みんなそうだった。


だけど。







クラスメイトに頼まれて一時的にバド部に入った頃から、彼女と話す機会が多くなった。

溝端 苗。


殆どバドの相方が仕組んだようなものだけど、もしかして彼女は俺にとって特別なんじゃないかと思うようになった。


信「…ねえ、俺、気の利いた話ひとつできないけど…。つまらなくない?」
苗「え?そんなことないよ…。だって、飼沼くん知ってる?密かに女子に人気あるんだよ。」
信「…え?まさか…。暗いとかキモいとか言われてるのしか聞いたことないよ…。」
苗「…。飼沼くんって、あまり喋らないじゃない?それに、女子に壁作ってる感じがするし…。だから、ちょっと近寄りがたいと思われてるのよ。」
信「壁…。そう思わせる不快な態度取ってたのか…。気を付けるよ。ごめん。」
苗「…(・ω・`)そうじゃなくて。よく見るとイケメンだよねーっていう評判だよ。」
信「…たらこなのに?無理してない?俺は気なんて使われなくても…」
苗「それにね、わたしは…。」

苗「そんな飼沼くんが、スポーツに打ち込んでるときは本当に心から楽しんでるのがわかるのが、見ててすごく気持ちよくて…」

苗「……。」

苗「…見てるこっちも楽しくなっちゃって。」

信「……。」
苗「わたしは、飼沼くんのそういう所が眩しくてしょうがないの。」
信「……。」
苗「だから…、そんな所を少し分けて欲しいから話し掛けたのかも、なんて…。」
信「俺は、そんな…。大それた人間じゃ…。」
苗「もう…。少しは自信を持ってよ!」
信「……!」
苗「飼沼くん、あんな楽しそうな顔ができるんだから、絶対暗い人なんかじゃないのよ!だから、こうして話してるときも、スポーツに打ち込んでる時みたいに笑って欲しいな…。」
信「………。」
苗「あ、ごめんヘンなこと言って!楽しくないのに笑えないよね…。(´・ω・)」
信「……!」(ニ゙ゴッ)
苗「…!…フフフッ!ひきつってるよ飼沼くん!少し、力抜くだけでいいから!フフフフフッ!」
信「あははは…。」



俺は、彼女にとっての特別なのだろうか?
そんな思わせぶりなことを言って。

ただの自惚れか?
単なる社交辞令なのかもしれない。

そんな事をぐるぐる考えていたら、いつしか彼女の事ばかり気にするようになった。
もしかしたらこれが、人を好きになるという事なのかもしれない。




だけど、迷惑じゃないだろうか。
彼女が俺の事をそういう風に見てるとは限らない。
俺に好意を向けられている事を快く思わないかもしれない。



そんな風に考えて、結局何も言えず、数ヶ月が経った。


そして、ある件をきっかけに、俺の気持ちこそが思い違いだと思い知った。








---







溝端さんが、兄を失って不登校になった。
噂によると、別人のようにやつれて、ろくに会話もできない位塞ぎ込んでいるらしい。

俺は兄弟を失う事が、何もかも投げ捨てる程に辛い事だなんて理解できない。
俺にとって兄弟なんて、恨む相手であり、互いに邪魔者でしかなかったから。




復帰した後も彼女は、一度投げ捨てた部活のブランクを埋めるのに必死だった。
特待の道は断たれても、北斗でプレーしたいからと。
かくいう俺は、何の障害もないというのに、自分のエゴで北斗の特待を蹴った。


スポーツに打ち込んでる俺が好きだと言ってくれたのに、思いっきり裏切ってるじゃないか。





特別なんじゃないかと思っていた存在は、本当は誰よりも遠かったじゃないか。





何が特別だ。何が好きになったかもしれないだ。
何一つ理解できる立場じゃないくせに。



苗「涼太って頭はいいのに肝心なとこ抜けてるよね。悪役には向いてないわ」
涼「・・・一番のダチも裏切って、何度もカツアゲして、女だろうが構わず殴って・・・悪役に向いていなかろうが、もうオレはまっとうな道には戻れない気がするな」
苗「間に合うよ。悪い事をした分、いいことをすればいいのよ」
涼「・・・なんか、そこまでするほど生きてることに価値を見いだせないんだよな。今」


あいつは…、噂の問題児だっけ。
溝端さん、あんなのに関わってたのか…。
なんであんなに優しそうな目を向けているのか。
今は笑っていてもあんな奴と関わり続けたら痛い目を見るんじゃないか?


苗「そんな事言わないで・・・って言いたいところだけど、叶が死んでからのわたしも同じこと思ってたから人の事言えないな・・・」
涼「いっそ死ぬかな。死んで叶兄ちゃんと下らないだべりでもしてたほうが楽しそうだ」
苗「自殺は大罪らしいから、そしたら多分叶のところにはいけないよ?」
涼「誰の受け売りだ、それ」
苗「萌。なんだかんだであの子もわたしのこと心配してくれてたみたい。おかげでわたしもさすがに自殺は思いとどまったわ」


―――――自殺。
その単語にドキリとした。
・・・そこまで思いつめていたのか。
何も、知らなかった。



涼「・・・あいつも辛いはずなのにな。オレでさえ堪えたのに」
苗「・・・せめてわたしたちは生きよう?何をしててもわたしは涼太を見捨てないよ」


・・・。
・・・・・・。

何を立ち聞きしてるんだ。
こんな重い話を。
俺の入る余地なんてないのに。


・・・でも、あの問題児もあの問題児だ。
傷ついた溝端さんに気を使わせて。
事情を知ってるなら力になるべきだろうが。逆に心配かけさせるなんて馬鹿か。
あんたは理解してやれるんだろ・・・?何情けないことを言ってるんだ。




苗「・・・あれ。飼沼くん・・・?」
信「・・・あ、・・・。・・・ごめん。」
苗「・・・え?あ・・・。」




彼女の友人に不満を抱いたところで彼女のことを何一つ理解できない俺に何ができる?
今だってただ傍観してるだけじゃないか。






下手に触れたところで壊してしまうんじゃないか。
今気丈に笑っている彼女も、死を選ぶ事を考える程思いつめていたんだ。



壊れる所を 見たくない



俺は、彼女の事を必死に頭から追いやった。


見たくないものに蓋をするだけ。あまりにも自分勝手な防衛手段。



それから会話をする機会はめっきりと減っていた。




---






現在。


高校は別れたものの、帰り道やバイト先で、度々彼女に会う。
そして彼女は、前と同じように話しかけてくるのだった。

不可解だった。彼女にとって、スポーツを捨てた俺に価値なんてないんじゃないか?


そんな彼女に応えようと、気を使っては空回りを繰り返した。
返ってくるのは戸惑いと苦笑い。

いい加減呆れ返ってるだろうと思ったのに、あろうことか彼女は、メールアドレスの交換を求めてきた。

信「えっと…。俺、あまり気の利いた返事できないよ…。」
苗「そんなに構えなくていいよ。わたしも下らないメールするかもしれないから。迷惑かな…?」
信「俺はもちろん歓迎するけど…。いいの?」
苗「わたしからお願いしたんだよ?」
信「そうだね…。ごめん。何でも気軽に相談して。できる限りの事はするから。」
苗「相談じゃないと駄目…?」
信「え?」
苗「相談もなしに他愛もないメール送るのはだめかなって。」
信「だ、駄目じゃないよ・・・。もちろん。けど・・・、変な返信とかしたら、ごめん・・・。」
苗「そんなの、メールする前から言わないでよ。もっと気を楽にして欲しいな。」
信「・・・努力する。」
苗「努力って・・・。」

・・・やっぱり、気を悪くさせたみたいだ。
うまくいかないな。

俺と彼女には隔たりがありすぎる。
なのに彼女は俺に何を求めているのだろう?
俺はどう応えるべきなのだろう?

彼女は気を楽に、なんて言うけど、俺には重くて仕方がなかった。




だって俺は昔、怖いからって、彼女から目を逸らしたんだ。

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のぶろーはスポーツなら比較的なんでもこなせるけど卓球とかテニスとか諸々打ち合う競技が特に強い。

中学時代の信郎は、ちょっぴりボソボソ喋り。
バイト始めてから溌剌と喋るようになります。


中学時代からそれなりの交流があって、気になる存在でもあったんだけど、様々な物事が積み重なって複雑な感情を抱くようになって、その気持ちを押し殺してしまったという。

特に信郎は病んだ女性、壊れた女性というのを恐れているので、叶の件で苗の事も怖くなってしまったという。
そして助けもせずに恐れて見ないふりをした自分にも罪悪感があって、苗に顔を向けられない思いでいる。

自意識過剰のへたれでごめんよ・・・!サナエンがんばれ・・・!
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